【講演レポート】後編|インフォデミック時代に求められる、“伝わる医療コミュニケーション”とは

みなさん、こんにちは。GENOVA広報担当です。
今回は、メディカルドック編集部の社内研修として開催した特別講演の様子の後編をお届けします。
前編では、“医療の翻訳家”市川衛さんによる講演から、
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医療情報における「情報の非対称性」
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インフォデミック時代の課題
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「正しい情報」だけでは人は動かない現実
について紹介しました。
では、情報があふれる現代において、私たちはどのように医療情報を届ければいいのでしょうか。
後編では、市川さんが語った、“伝わる医療情報”を実現するための考え方や、編集・発信の現場で実践できるヒントについてお届けします。
「分かりやすい」だけでは、人は動かない
講演の中で市川さんは、医療情報発信において重要なのは、「専門用語を簡単に言い換えること」だけではないと語りました。
本当に必要なのは、
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読者が「自分ごと」として受け取れるか
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なぜその情報が必要なのかを理解できるか
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行動につながる形になっているか
までを含めて設計すること。
つまり、「伝える」ではなく、「伝わる」状態をつくることが重要だというのです。

“受け手目線”から情報を組み立てる
市川さんが繰り返し強調していたのが、「発信者目線ではなく、受け手目線で考える」という視点でした。医療情報は、専門家にとっては“常識”であっても、一般の生活者にとってはそうではありません。
たとえば医療従事者には当たり前の言葉でも、読者からすると、
「そもそも何の話をしているのか分からない」
ということも珍しくありません。
だからこそ、
「相手は何に困っているのか」
「どこでつまずくのか」
「どんな感情を抱くのか」
を想像しながら情報を設計する必要がある——市川さんはそう語りました。

「正論」よりも、“理解されること”が重要
市川さんは、医療コミュニケーションにおいて、
「正しいことを言えば、人は納得する」とは限らないと話します。
特に、健康や医療は不安と結びつきやすいテーマです。
そのため、発信者が良かれと思って発した言葉でも、受け手によっては、
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否定されたと感じる
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不安を強めてしまう
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距離を感じてしまう
ことがあります。
だからこそ必要なのは、「まず相手の感情を理解すること」。
頭ごなしに正論を伝えるのではなく、
「なぜそう感じるのか」
を理解したうえで言葉を組み立てることが、“伝わる情報”につながるのだと語っていました。
「能動態」で書くと、情報は生き始める
質疑応答では、メディカルドック編集部から、
「医療広告ガイドラインや薬機法がある中で、どうやって“伝わる表現”を作るのか」
という質問も上がりました。
これに対し、市川さんは、
例えば、
× 「塩分を控えることが有効と考えられています」ではなく、
○ 「今日の味噌汁を“減塩”に変えてみてください」と書く。
また、「〜と言われています」ではなく、「最新のデータが示しています」
と主語を明確にするだけでも、文章の力強さは変わるといいます。
AI時代だからこそ、「人間にしかできない仕事」がある
講演の終盤、市川さんは生成AIについても触れました。
文章の推敲や、専門用語の言い換え、リスクチェックなど、AIは今後ますます強力な支援ツールになっていく。
しかし、その一方で、「この情報で、誰を幸せにしたいのか」を考えることだけは、人間にしかできないと語ります。
情報設計の本質は、テクニックではなく、“受け手への想像力”にある。
だからこそ、市川さんは「医療の翻訳」を、「情報の断絶に橋を架ける仕事」と表現していました。
編集後記|「伝わる医療情報」を、これからも
今回、市川衛さんの講演を通じて改めて強く感じたのは、「正しい情報を届けること」と「人に伝わること」は、決して同じではないということでした。
医療DXが進み、誰もが瞬時に大量の情報へアクセスできる時代。
一方で、情報が多すぎるからこそ、「何を信じればいいのか分からない」という不安も社会の中に広がっています。
そんな時代だからこそ、私たちが目指したいのは、“情報を発信するメディア”である前に、“生活者と医療をつなぐ翻訳者”であること。
専門知識をただ分かりやすく言い換えるだけではなく
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読者が自分ごととして受け取れるか
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不安を必要以上に煽っていないか
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行動につながる情報になっているか
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読後に少しでも前向きになれるか
そうした「受け手の体験」まで含めて設計することが、これからの医療メディアには求められているのだと感じました。
市川さんが講演の最後に語られていた、「この情報を使って、目の前の誰を、どのように幸せにしたいのか」という言葉は非常に印象的でした。
「メディカルドック」はこれからも、正しい医療情報や健康知識を届けることを大切にしながら、“伝わる医療メディア”を追求し続けていきます。
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