みなさん、こんにちは。GENOVA広報担当です。

前編では、「たかせEXPO」で行われた「医療現場の最前線」の討論から、

  • 高齢者の低栄養 

  • オンライン診療による医療アクセス 

  • 医療経済とQOL

という3つのテーマをご紹介しました。

いずれの講演にも共通していたのは、患者の病気だけを見るのではなく、その人の生活や家族、地域まで含めて医療を捉える必要があるということです。
では、これからのクリニックや地域医療には、どのような役割が求められるのでしょうか。
後編では、徳田安春先生、迫村泰成先生、佐々木淳先生、小畑正孝先生、伴正海先生を迎えて行われたパネルディスカッション「クリニックの未来」の様子をお届けします。

パネリスト
徳田 安春先生:むりぶし沖縄臨床研修センター センター長/日本医療政策機構フェロー
迫村 泰成先生 :医療法人社団若水会 牛込台さこむら内科 院長
佐々木 淳先生:医療法人社団悠翔会 代表理事・診療部長
小畑 正孝先生:医療法人社団ときわ 理事長/赤羽在宅クリニック院長
伴 正海先生:医療法人社団おうちの診療所 理事長
武田 俊彦氏(座長):Boston Consulting Group(BCG)Senior Advisor

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登壇者全員で記念撮影

病気になる前に、地域で変化に気づく

パネルディスカッションでは、地域医療や在宅医療に携わる5人の医師が、それぞれの立場から「クリニックの未来」を語りました。
最初に徳田安春先生が示したのは、病気の重症化を防ぐために、日常の小さな変化を早期に捉えることの重要性です。
医療者だけが健康を管理するのではなく、患者や家族も小さな変化に気づける社会をつくる。
例えば心不全では、手の甲の静脈など、身体に現れる変化が早期発見の手がかりになるといいます。
もし、あなたや家族が身体の変化を正しく理解できれば、適切なタイミングで医療につながることができます。健康を医療者だけに任せるのではなく、地域の一人ひとりが身体への理解を深めること。それが、病気の予防や早期治療を支える地域医療の第一歩になるのです。

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徳田 安春先生(左)、迫村 泰成先生(右)

病気を治す「Cure」から、生活を支える「Care」へ

続いて、迫村泰成先生のお話にうつりました。
大学病院などで循環器内科の急性期医療に携わった後、クリニックを継承し、地域医療に取り組んできた先生です。
迫村先生は、病気を治す「Cure」から、患者の生活全体を支える「Care」へと役割が変化する中で、医療と介護の間にある制度の壁を感じてきたと語ります。
慢性疾患を抱えながら地域で暮らすとき、必要なのは治療だけではありません。日々の生活や介護、家族の状況まで含めた支援が必要です。医療と介護を分けて考えるのではなく、切れ目なくつなぎ、住み慣れた地域で自分らしく暮らせるよう支えることが、これからのクリニックに求められています。

自宅が「急性期医療の場」になる

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佐々木淳 先生(中央)

続いて話は、前編で高齢者の栄養について語った佐々木淳先生へと移りました。佐々木先生が示したのは、在宅医療が慢性期の管理だけでなく、急な体調悪化にも対応する「Hospital at Home」へと進化していく未来です。
Hospital at Homeとは、入院が必要となるような患者に対し、自宅で病院に準じた医療を提供する考え方です。
ポータブルエコーなどの医療機器やデジタル技術の発展により、肺炎や心不全、脱水などを、入院せず自宅で治療できる可能性が広がっています。
あなたや家族が急に体調を崩したときも、住み慣れた環境を離れず、必要な医療を受けられる。予防から急性期の治療、看取りまでを同じ医療チームが継続して支えることが、これからの在宅医療の大きな役割になるのです。

「自宅で診る」だけでは、在宅医療は続かない

続いて、小畑正孝先生のお話へと移りました。小畑先生は、自宅で医療を受けられる体制を整えるだけでは、在宅医療は持続しないと指摘します。
もし、あなたの家族が自宅で治療を受けることになれば、「病院に入院した方が安心なのではないか」という不安に加え、日々の介護や見守りによる身体的・精神的な負担も生じるでしょう。
在宅医療によって入院や医療費を減らせたとしても、その負担を家族だけが背負うことになれば、本当の解決とはいえません。患者本人だけでなく、支える家族の生活や気持ちにも目を向け、地域全体で支援する仕組みを整えることが、持続可能な在宅医療には必要なのです。

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小畑 正孝先生(左)、伴 正海先生(右)

医療が、地域の生活に溶け込んでいく

最後に、伴正海先生のお話へと移りました。
伴先生は、制度や医療機関を起点にするのではなく、患者の生活を中心に医療を考える必要があると語ります。
病気になったときだけ医療機関を訪れるのではなく、日頃から自分の状態を理解し、必要に応じて医療者や多職種のチーム、AIなどの支援を受ける。そんな形が広がれば、医療はもっと身近なものになるはずです。
これからのクリニックに求められるのは、患者を待つだけではなく、地域へ出て、人々の暮らしに寄り添うこと。医療が生活の中に自然に溶け込み、あなた自身も健康づくりに参加できる地域社会が、未来の医療の姿なのかもしれません。

テクノロジーだけでは、医療の課題は解決できない

今回のパネルディスカッションでは、オンライン診療やAI、ポータブル医療機器など、医療の可能性を広げる技術が数多く語られました。しかし、技術を導入するだけで、あなたが安心して医療を受けられる社会が実現するわけではありません。
必要なのは、患者や家族の思いを理解し、医療と介護、地域の多職種をつなぐこと。そして、「何を効率化できるか」だけでなく、「誰の、どのような暮らしを支えるのか」を考えることです。
テクノロジーは人に代わるものではなく、人によるケアを支え、必要な医療をあなたの生活へ届けるための手段です。技術と人の力を組み合わせることが、これからの医療をより良くする鍵になるのではないでしょうか。

編集後記|医療の課題を、つながる仕組みへ

今回の講演とパネルディスカッションを通じて改めて感じたのは、これからの医療は、医療機関の中だけでは完結しないということでした。
高齢者の栄養を支えるには、医師、歯科医師、管理栄養士、看護師、介護職など、異なる専門性を持つ人たちの連携が必要です。オンライン診療を広げるためには、技術だけでなく、対面診療や地域の医療機関へ適切につなぐ仕組みが欠かせません。
そして、在宅医療を持続可能なものにするためには、患者本人だけでなく、家族や医療従事者の負担にも目を向ける必要があります。

今回語られた「クリニックの未来」とは、単に新しい技術を導入した医療機関の姿ではありません。患者一人ひとりの生活を中心に、必要な医療やケアが途切れることなくつながっていく未来なのだと感じました。
GENOVAは、「ヒトと医療をつないで健康な社会を創る」というミッションのもと、医療情報の発信や医療機関のDX支援に取り組んでいます。
医療現場が抱える課題を知り、医療従事者、患者、家族、地域をつなぐ仕組みを考えること。これからも、医療に関わる企業として、現場の声と向き合いながら、より良い医療の未来に貢献していきます。

医療業界には、医療従事者として患者と直接向き合う仕事だけでなく、テクノロジー、情報発信、データ、事業づくりを通じて、医療を支える仕事があります。本記事が、医療に関わるキャリアの広がりを知るきっかけになれば幸いです。

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